墓場の裏から視ていた

孤島に屍骸、それの横に落ちていた日記。株の事とかを記録してある。

インド人に公明党について質問された①

 駅の方から上がって来る時に一番重用しているバス道から一本ずらした通りやすい住宅街。低速で進む折りたたみ自転車の先になにやら女の人が立っている。どうも目線がこっちを向いていたが距離の詰まったタイミングでスッと左に一歩。声をかけられたので止まった。遠目には30歳代にも見えたが案外20歳代かもしれない。中肉中背でジーパン、一見して何の特長もなく普通。だからこそ結局分からなかったという感想を先に記しておくと、まともな人だったか、まともではない人だったのか微妙なライン。
「インド人がこのヒト誰なんだと聞いてくるんですよ」
「え!?」
指を差す先を斜めに振り返ると住宅の壁に貼られた公明党のポスター。
「この山口って何をしている人物なのかって聞いてくるんですよ」
「・・・は?」
要点を得ない。インド人にされた質問に答えたいけれど公明党の党首のことをよく知らないので教えて欲しいという意味なのか?そうだとしたら何で俺が?となる。または、インド人が公明党の党首のことを質問しながら付きまとっているので助けて欲しいという意味なのか?とも考えたが、周囲近辺には誰も見当たらない。
「あの・・・インド人が、ですか?」と確認すると、
「はい、今滅茶苦茶多いんですよ多くなってきているんですよ仕事でも普通に生活してても絶対に出会いますよ滅茶苦茶多いんですよ」と急に早口で捲くし立ててそんな風に言った。が、
「だから絶対聞かれますよインド人に、あの山口って何なのかって」
次の段のこれが分からない。突然に知らない女に呼び止められて公明党のポスターを見ながら暫し、
「はあ、そうなんですか・・・」
としか答えようがなかったが、
「じゃあ、わたし伝えましたから」と立ち去りながらの一言で〈あぁ、創価学会員か〉と、そういうことかとようやく合点がいった。
 日本に入国している昨今の外国人も公明党の政治に注目しています、期待しています。とでもアピールしたかったのだろうか。ところが性格的なものか能力的なものか、或いはノルマでも課せられて乗り気ではない嫌々ながらの声かけで、ぶっきらぼうになり伝わりづらかったというところか。
 本人は気が済んだのか役を終えて歩いて行き始めた。どうやら解放されたらしいので自分も向き直ってペダルに足を乗せたら、
「注意してくださいよ、気をつけないと知りませんよ」と離れた先から追いの警鐘。
〈どういうこと!?〉何に注意を要するのか・・・インド人?公明党?せっかく理解しようとしたハナシの筋が再び分からなくなる。そのままの注意喚起だとしたら学会員の広報活動の一つではないということか、訪問ならまだしも路上で声かけというのは聞かないし。何かたまたま自分だけが呼び止められた理由があるのか、他の人にも手当たり次第『注意』を示してながら歩いているのか。
 外見から変な人の気配が伝わってくれば、それならそれ、かえって疑問も問題もないだろうが、証明写真の見本のような特長を説明しようのない普通の人からの意味不明な言動。ただ、すでに玄関先まで近くなっていた帰り路の途中半分くらいまでは色々考えながら自転車を漕いでいたものの、そこまで。
 結局よく分からないし先週にそんなことがあったというだけだった。