墓場の裏から視ていた

孤島に屍骸、それの横に落ちていた日記。株の事とかを記録してある。

センチメンタル通り

 入院を受け入れる覚悟は決まっていたうえで少しぐずってみた素振りをしだけなのに、放り込まれた部屋のある別館のナースステーションにはそれが患者の情報としてすぐに伝わり共有されていたようで恐れ入る。窓の外を見下ろして考え込んでいると初日担当のナースが「入院、嫌だったんですか?」と声掛けをしてきた。「えっ!?(入院がハッピーな奴なんかいないだろう)まぁ、どこが分岐点だったかなぁと思って・・・」と返すと、「それは最初に傷が入った時点ですよ。すぐに病院で診てもらわないと」「・・・、まぁそうですよねぇ・・・」看護士の人達は男女国籍問わず笑顔で優しかった。その分人恋しくなってしまって久しぶりにIの事が想いめぐり辛くなった。もし傍に居てくれたら大笑いして馬鹿にしてくれたんじゃないかな・・・。
 現在は地元土着の地縛霊のようになって日常を彷徨っているが、例えば遠い昔、ノッティンガムのアパートでルームメイトが次々日本に帰らなくてはならなくなり留守番中に独り、大嵐に取り残された後の虹まで突き抜けた景色に晒された時に初めて気付いたが、ふと非日常に落とし込まれたりするとなぜか想い浮かぶのはIの事。その後も度々。今回の入院も独りでの非日常だったという事だろう。昔はそんな感情を覚えると戻って会いに向かえたが、現在はどう暮らしているかも知らない。あの頃と違ってSNSですぐに繋がれる時代になっているというのに。
 十代の頃に見舞われた不遇を受け入れることを一旦保留し、代わりに得るべき何かを確かめたい衝動に追い立てられていた高校時代から、何かに届いたような手にしたような、そんな気になった期間も確かにあったが、長い時間だけを失って結局手ぶら、いびつ、空っぽになって、なんと元の場所に戻って来た。
 近くの医院で紹介書を渡されて向かい、そのまま入院する事になって成り行きで辿り着いた部屋が、卒業以来一回も近づかずにあえて避けていた母校近くの通学路にわざわざ面していれば、窓から見下ろした先に行き交う高校生達の合間に当事の二人を探さざるを得ず、手の痛みよりも出費よりも何よりも酷。ブログの方向性が異なるのでやっぱり未練はこの辺までにしておくが、早く日常に戻る為に株でリズムを整えなければという決意と共に記しておかないと気持ちの切り替えができない。
 『何もかもが嫌になるには若すぎたという愚かさを突きつけられて本当に落ち込んだ』 
 そうして窓の外を見下ろしているとまた別のナースが「やっぱり入院生活は慣れませんよね。でもこの際ゆっくり休んでみましょう」と励ましてくれたりする。自分はIとの事でどこが分岐点だったかを半強制的に考え巡らされているが「お風呂に入ったりしましたか?悪化するんですよね」と詰められる。それは事実だから「そうなんですよ」とは答えるが、忙しく献身的に働く看護士さん達の足を止めての要求はわがままかと思い、部屋を代えて欲しいとは最後まで言えなかった。最終日に入院費用が15万円にも届きそうだと知り、自分は手間の掛からない上等のお客さんだったかもと後悔。磔の刑に遭っているような窓際で、忘れていたような当事のさまざまな感情なんかも片っ端から引き出されての苦行を終えた。

f:id:GIONN-SOMIN:20191203171146j:plain

 当時、通学途中の女子高生達がこぞって大量に購入していた人気のパン屋が、何の味気もない調剤薬局に代わっていた。あんなに大繁盛していたのに・・・とても長い時が過ぎたのか・・・。

f:id:GIONN-SOMIN:20191203171310p:plain

12/3(信用買い・売り・計)

さぁやるぞ!と気合を入れたところで全く資金がない。入院前にすでに最終防衛ラインまで後退させられていたし、この間、当然外の世界も株の口座も状況は好転しているはずもなく、しばらく我慢なのか。
(6379)レイズネクスト100株だけ。他は動かず回らず。